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鉄筋の腐食

鉄筋コンクリート構造物の鉄筋は、コンクリートの強アルカリ環境下においてもその表面が水和酸化物から成る不動態皮膜に覆われているので、腐食から保護されています。

しかしながらコンクリートが中性化してアルカリ度が低下したり、コンクリート中にある種の有害成分が存在すると不動態皮膜が破壊され鉄筋は活性化して腐食しやすくなります。

コンクリート中の鉄筋の不動態皮膜を破壊する有害成分としては、ハロゲン化物イオン※硫酸イオン※、硫化物イオンなどがありますが、特に塩化物イオンの作用が強く、鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋腐食の多くは、コンクリートの中性化と塩害が引き金となって生じます。

鉄筋腐食に基づく鉄筋コンクリート構造物の劣化過程は、コンクリートの中性化や塩害によって鉄筋表面の不動態が破壊されると鉄筋表面に局部電池が形成され、陽極領域から鉄イオン(Fe2+)が遊離し、鉄筋の腐食が進行します。   
更に陽極領域で生じた鉄イオンは陰極領域で生じた水酸化物イオンと反応し、赤錆を生成させます。

※ハロゲン化物イオン

フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、アスタチン化物があります。多くの塩はハロゲン化物です。すべてのアルカリ金属は、室温で白色固体のハロゲン化物をつくります。

※硫酸イオン

硫酸塩は自然界では重晶石や石膏などの形で鉱物中に含まれています。また硫黄の地殻での存在量は260mg/kgです。硫化物が地表近くに存在すると大気中の酸素や地下水の溶存酸素により酸化されて硫酸イオンが生じるため火山地区の河川水などに硫酸イオンが多量に含まれることがあります。硫化塩とは、硫酸イオンを含む無機化合物の総称です。

2020/3/24
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