鉄骨造(S造)の耐力度測定
鉄骨造(S造)の耐力度測定方法
建物の【構造耐力】【経年による耐力低下(保存度)】【立地条件による影響】の
3点の項目を総合的に調査し、建物の老朽化を評価します。
この耐力度測定は、絶対的な合否を測定するものではなく、
相対的な危険度を調べるものであることと、調査に要する費用を
できる限り低く抑えることを条件としているので、測定作業は
比較的簡単になっており、詳細な測定を行うほど評価点が低くなるように
なっています。
従って評価点が高くても、それが直ちに安全な建物を意味するわけではありません。
【構造耐力】
建物新設時においてどの程度の耐力度を有していたかを評価します。
構造耐力は下記3つの指標の和で評価され、100点満点とします。
①架構耐力性能(60点満点)
②架構剛性性能(20点満点)
③基礎構造(20点満点)
①+②+③=100点満点
【保存度】
保存度では新設時に比べて現在の建物の構造耐力が
どの程度、劣化しているかを評価します。
弊社では保存度の調査を承っております
保存度は下記7つの指標によって評価され、100点満点とします。
①経過年数(30点満点)
②鉄骨腐食度(20点満点)
③座屈状況(15点満点)
④柱の傾斜量(5点満点)
⑤不同沈下量(5点満点)
⑥接合方式(25点満点)
⑦火災による疲労度(係数1.0~0.5)
(①+②+③+④+⑤+⑥)×⑦=100点満点
①経過年数
一般的に建物の耐力は経過年数と共に減少すると考えられ、
保存度に及ぼす影響は大きい。
評価は減価償却資産の耐用年数に関する大蔵省令に基づいて
行われ、構造部材が普通鋼材の場合と軽量形鋼の場合とで区別しています。
②鉄骨腐食度
主要構造部材(柱、大梁、軸組筋交い、軒桁、柱脚)および非主要構造部材
(つなぎ梁、耐風梁、間柱、母屋、小屋筋交い等)それぞれについて鉄骨の
腐食状態を調べ、その最も腐食が進んだ部材により評価します。
③座屈状況
現在までに経験した地震、強風、積雪等により既に幾つかの部材が座屈していることが
考えられます。また、建設時に無理な施工をしてたわみを生じさせてしまっていることも
あります。これら部材の座屈、曲がりは当然構造耐力を低下させてしまいますので
評価対象となります。
④柱の傾斜量
柱の傾斜は基礎の沈下、開店に起因する場合が多く【不同沈下量】とも関連するが
他にも接合部のゆるみ、部材の曲がりによっても生ずる。
架構耐力性能を算定した架構の柱のうち、最大傾斜している柱について張間及び桁行の
各方向について「下げふり」を当て測定します。
⑤不同沈下量
原則として測定を行わなくてもよいが、不同沈下に起因する主要構造部材の
ひび割れ等が観察された場合に行います。
不同沈下量は各階のX・Y両方向について測定し、各階の平均値をもって
各方向の測定データとしています。
⑥接合方式
接合部は構造耐力上極めて重要な要素
接合法として、リベットまたは高力ボルト、溶接、普通ボルトまたは
アンカーボルト等があります。
接合が2以上の異なった方式を用いた混合接合方式になっている場合には、
その過半数を超える接合方式を当該部位の接合方式とします。
⑦火災による疲弊度
火災による構造耐力の劣化は、上記①~⑥の全項目に影響を与えると考えられます。
鋼材に与える火災の影響は、よほど激しい火災の場合は降伏点の低下を招くが、
多くの場合は温度膨張とと一時的軟化による部材の曲がりです。
【立地条件による影響】
鉄骨造の場合は、建物の形状、地域により耐力を支配する外力が地震力であったり、
風圧力であったり、積雪荷重であったりします。
外力というものは不確定性の強いもので、構造計算上は或る外力で耐力が決まるという
結果を得たとしても、他の外力も想定を上回る大きな値が加わる危険性も強いので、
下記の4項目を平等に評価することとされています。
①地震地域係数
②地盤種別
③積雪寒冷地域
④海岸からの距離
株式会社ウィズでは、耐力度測定を行う上で
必要な【保存度の調査】を承っておりますので一度、お問い合わせください。