外壁診断は何故、必要なのか?!
タイル貼りやモルタル施工した外壁仕上げ材(外壁材)は、竣工からしばらく経つと
仕上げ材部の接着モルタルなどの経年劣化により剥離が生じることがあります。
この状態を放置するとやがて剥落してしまいます。
外壁材の剥落は、建物の高所から硬い物体が落下し通行人に当たり人命を脅かすなどの
第三者障害やその損害賠償、建物の美観が損なわれ建物の不動産価値が低下するなど
居住者の財産にも影響を及ぼすことになります。
タイル張り仕上げといってもその施工方法の違いにより、タイルの剥離・剥落の仕方は様々
そこで、何故外壁が剥離するのでしょうか。
-タイル後張り工法-
タイル後張り工法の外壁はタイル、モルタル、コンクリート躯体で積層構造をしており
これらの材料が外部からの温度・温度変化を受けると、材料の膨張係数の違いにより
それぞれに異なった伸縮性が生じます。この動きを『デファレンシャルムーブメント』と呼び、
外部環境変化によって、材料間にひずみが蓄積し、剥離が生じます。
外部の温度変化が壁内部に伝わる時に、外壁材の『デファレンシャルムーブメント』は熱の減衰と
伝導による温度差からも影響を受けます。外壁材は外気温上昇時にはモルタル仕上げ側に伸びが生じ、
外気温低下時には仕上げ側が収縮します。この反りの繰り返しにより、コンクリート基盤からモルタル
仕上げ材が剥離しやすい状況を生じさせます。
タイル張り外壁は、先付け工法・乾式工法の場合を除き、下地のコンクリート壁またはその上の
下地モルタル(コンクリート打ち放し工法の場合は下地モルタルは無い)に張り付けモルタルを
用いてタイルを張り付けていくので、コンクリート壁、下地モルタル層及びタイルの各材料が層を
形成し、それぞれの層の間に少なくとも三つの境界面(タイルと張付けモルタル、張付けモルタルと
下地モルタル、下地モルタルとコンクリート壁基盤)が存在します。
この境界面で外壁タイルが浮いて剥離してしまうのです。
第三者障害の問題もあるので、特定の建物の所有者や管理者は、予防保全の観点から維持修繕計画を
策定し、定期的な外壁診断を実施する必要があるのではないでしょうか。